価値観は強力な戦略(その3)
なぜ価値観を第2の「戦略」と位置づけたのでしょうか?
価値観が通常の戦略に比べて情動的・倫理的という違った性格を
もつとはいえ、そこにはやはりまだ細工されたという側面があるこ
とが否めないからです。
つまり、価値観は社会通念、法的ルール、他人の意見といった外部
の環境によって多分に影響されるからです。
では、外部の環境が影響を与える価値観の大元とは何でしょうか?
それは「意志」です。「志(こころざし)」とか「決意」と言って
もいいでしょう。
ちなみに、あなたが成功するかどうかは、ほんとんど言っていいく
らい(90%)、あなたの「意志」にかかっているのです。
同様に、価値観が第2の戦略たり得るかどうかは、この「意志」に
かかっているのです。
「意志」の希薄な価値観というのは、戦略云々どころか、犬も食わ
ぬ代物と言っていいでしょう。
大分前の昔になりますが、作家の伊集院静が彼の随筆のなかで、
こんなことを言っています。
松井秀喜は、なるたけ毎回、試合に出たいと言うんですね。
野球を見に来ている少年たちのために、僕は休めないんだと。
ホームランを打ったり賞をもらったりするのも大事だけど、
実は、プロ野球の芯はそういうところにある気がするんです。
どんな仕事にも、そいういう心棒があると思う。
人は、その心棒をつかむために汗を流したり、苦悩して働いて
いる気がする。私はいろんな仕事をした。大変なこともあった
けど、わりと器用だったんですね。
でも世界のことわざ辞典を見たら、器用がいいというのはひと
つもない。器用貧乏という言葉があるけど、中国でもギリシャ
でも同じような意味のことわざがあって、器用なのは全部ダメ
だと書いてある。
私はその器用貧乏だったわけで、上辺のことはわかっても、
芯はつかめなかったのかもしれない”
この話の中では「心棒」ということが情緒的に語られていますが、
この「心棒」が強固な意志に根ざした「価値観」なんですね。
そして、松井本人が意識するしないにかかわらず、松井にとって
これがプロ野球の世界を生きていく上での強力な「戦略」になって
いるのです。